毎日新聞の調査で、待機児童の約3倍に当たる5万人以上が確認された「隠れ待機児童」。自治体が待機児童数を見かけ上だけ少なくもできることを示しており、保護者の不満は強いです。

 待機児童が1,198人に上る東京都世田谷区の保坂展人区長は6月の記者会見で、こう強調しました。「育児休業の延長を(待機児童に)含めるべきだと考えているが、除いている自治体も多い。厚生労働省に基準の統一を求め続けている」

 厚労省は、親が育休中の場合は「待機児童に含めないことができる」とし、自治体の裁量に任せています。ですが、大半の自治体は待機児童から外しています。

 千葉県船橋市や仙台市は「他の自治体が含めていない」ことを理由に挙げ、比較されることに敏感になっている様子がうかがえます。今回の集計で「隠れ」を含めた待機児童が3番目に多かった大阪市も「厚労省の定義のほか、一時、待機児童数ゼロを発表して注目された横浜市の方式を参考にして判断した」。

 特定の保育所などを希望し、近くに空きがあっても入らないケースは一律に除外します。一見、厳格のようでしたが、運用の幅はあります。

 「待機児童を減らすよう号令がかかり、『ここには通えないだろう』と思いながら、自宅から遠い保育所を指定し、断ると待機児童から外した」。3月の参院予算委員会で、共産党の田村智子議員が首都圏のある自治体職員の証言を紹介しました。九州のある自治体の担当者も「ずいぶん減らせる」と話します。

 「求職活動の休止を確認できる場合」についても、確認方法は自治体任せ。兵庫県姫路市は「アンケートを送って『休止している』を選択した人」としているが、茨城県つくば市は「本人からの申し出」。大阪府茨木市は「把握が困難で、確認できていない」といいます。

 この結果、待機児童の少なさに期待して転居した世帯の子どもが認可保育所に入れない事態が起きています。公表している待機児童数がわずか7人の横浜市に住む母親は「入れなかった人が周囲に何人もいる」と憤ります。

 大分市は「恣意(しい)的な判断が入ったりしないよう、国は基準を明確に」と指摘。神奈川県藤沢市は「認可保育所などに入れなかった児童数の公表だけでいいのではないか」としています。